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専門職後見人としての行政書士 その2

専門職後見人としての行政書士 その2

成年後見制度の種類

 成年後見制度を利用する時点での本人の判断能力の程度によって、以下の2種類があります。法定後見制度は家庭裁判所の審判によって、任意後見制度は契約に基づいて利用します。

 

法定後見制度

 認知症・知的障碍・精神障碍等の精神上の障碍によって判断能力が不十分な人の財産管理や身上監護の関する事務を、家庭裁判所から選任された成年後見人(保佐人・補助人、以下後見人等)が支援する制度です。家庭裁判所への申立(申立ができるのは本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長)により、適していると認められる人物が後見人等として選任されます。

 

 後見人等は、本人の意思を尊重し、心身の状態や生活状況に配慮しながら、本人に代わって財産を管理したり、治療や介護など生活に必要な契約を結んだりなどといった法律行為を行います

 

 なお、法定後見人等は行った事務等について内容がわかるように記録しておき、家庭裁判所に定期的に報告をしなければなりませんし、必要に応じて裁判所から指示をうけたりします。また事案によっては後見等監督人が選任されることもあります。

 

 法定後見には、後見保佐補助の3種類があります。

 

後見

保佐

補助

対象者

判断能力が欠けてしまっているのが通常の状態である方

判断能力が著しく不十分な方

判断能力が不十分な方

申立ができる人

本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長

(市区町村長については、老人福祉法に規定されています)

成年後見人等の同意が必要な行為

同意権→なし

民法第13条第1項所定の行為(家庭裁判所の審判により、拡張可能、民法第13条第2項)

申立の範囲内で家庭裁判所が審判で定めた特定の法律行為(民法第13条第1項に定めた行為の一部)

取消が可能な行為

日常生活に関する行為以外の行為

同上

同上

成年後見人等に与えられる代理権の範囲

財産に関するすべての法律行為

申立の範囲内で家庭裁判所が審判で定めた特定の法律行為

申立の範囲内で家庭裁判所が審判で定めた特定の法律行為

第十三条  被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。

一  元本を領収し、又は利用すること。

二  借財又は保証をすること。

三  不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。

四  訴訟行為をすること。

五  贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。

六  相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。

七  贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。

八  新築、改築、増築又は大修繕をすること。

九  第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。

2  家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。

3  保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。

4  保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。

精神上の障碍がない場合は利用できません

 従来の成年後見制度では、浪費者に対して準禁治産宣言をすることができましたが、現在の成年後見制度では、精神上の障碍による判断能力の低下がない場合には利用できません。また、身体障碍のみで精神上の障碍がない場合にも利用できません。

任意後見制度

 判断能力が十分であるうちに、あらかじめ任意後見人となるべき人(任意後見受任者)を決めておき(信頼できる人であれば原則、だれでも構いません)、判断能力が不十分になってしまったときに備えて、任意後見の契約を結んでおく制度です。ただし、この任意後見の契約は公正証書で作成する必要があります。

 

 この契約をしておくと、本人の判断能力が低下したときに、任意後見人は契約で定められた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもとに、本人を代理して契約等の法律行為を行い、本人の意思に沿った適切な保護や支援を行うことができます。

契約書ではどんなことを定めておけばよいですか?

この契約では最低限、任意後見受任者の指定、報酬額の取り決め、代理権を行うべき事務の範囲の特定をしておくことになります。

つまり、任意後見というのは法定後見制度とは違い、本人任意後見受任者が当事者となって、本人の判断能力が不十分となった場合における財産管理・身上監護に関する代理権の付与等を内容とする契約を締結するということになります。

任意後見契約を発効させるには、家庭裁判所に申し立てをして任意後見監督人を選任してもらう必要があります。任意後見人(任意後見受任者)は任意後見監督人の監督のもとでないと、本人を代理することができないからです。通常、この選任には2〜3か月を要します。

 契約から任意後見が開始するまでの期間の違いによって次の3つに分けられます。

 

即効型

 契約締結後にただちに任意後見監督人の選任審判を行うタイプです。

 

 即効型では本人の判断能力が低下しつつある状態で契約を締結し、直ちに任意後見監督人の選任審判を行います。そのため、契約時点で本人に意思能力があったかどうかが問題とされることがしばしばあります。精神鑑定が必要となってしまったり、任意後見契約自体が無効とされたりする可能性があります(任意後見契約が無効とされてしまった場合は法定後見制度を利用することになります)。

 

 また、選任審判を行っている間、本人の判断能力が低下してきていても、任意後見監督人が選任されるまでは、任意後見受任者は本人のために何もしてあげられないという状態になります。その間に、本人の財産に問題が起こってしまう可能性も考えられます。

 

将来型

 契約締結後、判断能力が衰えてきた際に任意後見監督人の選任審判を行うタイプです。

 

 本人が十分な判断能力を持っている間に任意後見契約を締結しておき、その後、本人の判断能力が低下してきた時点で家庭裁判所に申し立てを行い、任意後見監督人の選任を受けて契約を発効させる形です。任意後見の本来の考え方に沿う形であるため、本来型とも呼ばれます。

 

 将来型では契約から選任審判申し立てまでの期間が空いてしまうので、委任者と受任者の関係が疎遠になってしまったり、悪化してしまったりする可能性があります。また、即効型の場合と同じように、選任審判を行っている間、本人の判断能力が低下してきていても、任意後見監督人が選任されるまでは、任意後見受任者は本人のために何もしてあげられないという状態になります。その間に、本人の財産に問題が起こってしまう可能性も考えられます。

 

移行型

 生前の事務委任契約(見守り契約)+任意後見契約の二本立てで成立させるタイプです。

言い換えると、判断能力の低下が発生するまでの間は、本人の財産管理等の事務委任契約を発効させておき、その後、判断能力が低下してきた時点で家庭裁判所に申し立てを行い、任意後見監督人の選任を受けて任意後見契約へ移行させる形です。

 この形では、契約を締結したあと、受任者は本人の委任代理人として、代理権目録にもとづいた業務・見守りを行うことになります。そして任意後見監督人選任後には任意後見人としての業務を行います。必要に応じて、死後の事務委任契約もまとめて締結することができます。

 

 判断能力低下前から見守りを行っているため、本人と受任者の間で、日常的にコミュニケーションがとられているので、お互いの考え方などを深めながら、本人にとってはいざというときには安心して受任者に任せることができます。また、家庭裁判所での任意後見監督人選任の審判中においても、受任者は委任代理人としての業務を行うことができるため、最も安全な形ということができます。

成年後見事務の範囲〜本人の意思をできるかぎり尊重〜

財産管理

 財産管理というのは「財産の現状を維持すること」、「財産の性質を変えない範囲で利用し、改良すること」、「財産を処分すること」を含み、財産に関する一切の法律行為及び事実行為としての財産管理を含みます。具体的には、

  • 登記済み権利証・実印や銀行印・預貯金通帳・有価証券等の重要な証書等の保管・手続き
  • 年金・賃料その他の収入の受領・管理
  • 金融機関との取引
  • 居住用不動産の維持・管理
  • 日常生活での金銭管理
  • 本人に必要な衣類や生活用具の購入
  • その他の財産の維持・管理・処分

などを指します。

 

身上監護

 身上監護とは、生活・療養看護に関する事務を処理することを指します。具体的には、

  • 病院等の受診、医療・入退院等に関する契約・費用の支払い
  • 本人の住居に関する契約・費用の支払い
  • 住居を決定するための情報収集・本人の意思確認
  • 住居の維持、快適な住環境保持のための状況把握
  • 福祉施設等に関する(入退所や通所)契約・費用の支払い
  • 福祉施設等を決定するための情報収集・本人の意思確認
  • 福祉施設等へ定期的に訪問し、処遇に対する監視・監督を行う
  • 福祉施設等を利用する本人の意思・苦情等の聴取
  • 介護・保健・福祉サービスに関して必要な申請・契約・費用の支払い
  • 本人をとりまく支援関係者との検討・状況確認・連絡・調整
  • 身上監護業務遂行上必要な親族等との連絡調整
  • 教育、リハビリ、就労、余暇活動、文化的活動等、社会参加に関する契約・費用支払い
  • その他契約の履行に関する追跡調査

などです。

 

その他
  • 相続手続(被後見人が相続人となる場合)
  • 手続き上の異議申立
  • 裁判手続き(法定後見制度の後見の場合のみ)……保佐・補助で付される代理権及び任意後見契約の代理権の場合は、訴訟委任を代理できるのみ。
  • 精神保健福祉法上での「保護者」として医療保護入院に関する同意権の行使

成年後見制度でできないこと

本人の日用品の購入に対する同意・取消

 旧制度の禁治産・準禁治産とは異なり、自己決定の尊重の趣旨から、本人が生活するのに必要な食料品や嗜好品・日用品の購入は、成年後見人等の同意は不要で、取り消すこともできません。

事実行為

 事実行為とは、食事や排泄等の介助や清掃・送迎・病院への付き添い等の行為を指します。成年後見人等は、本人にこれらの必要が生じた場合、介護保険やその他の制度を利用し、ヘルパー等の専門家の手にゆだねることになります。

医療行為への同意

 本人に対する医療侵襲行為の判断は本人特有のものであるため、代理権等の範囲が及びません。これらの判断は親族の方にゆだねることになります(親族がいない場合は、医師の判断にゆだねることになります)。

身元保証人・身元引受人、入院保障人等

 成年後見人等は緊急連絡先としての対応、入院費用の支払い及び身上監護の事務を行うこととされています。

居住する場所の指定

 成年後見人等には福祉施設等の入退所に関する契約を締結する権限はありますが、あくまで本人の同意を前提とし、強制はできません。ただし、緊急の場合や、本人の判断能力の状況によって、やむを得ず居住場所を決めなければならないことがあります。

成年後見に関する業務一覧

任意後見制度利用支援業務
  • 今は判断能力がまだまだあるけれども、将来、認知症などになったときに備えて任意後見契約書を作成し、任意後見受任者と契約を結んでおきたい方
  • すぐに任意後見契約を締結しておきたい方

 ご本人様の考え方や今後の生き方についてご意向をお聞かせいただき、意思能力が低下してしまったあとの施設入所のご希望や、財産管理の仕方、治療の方針(延命治療は必要かどうかなど)、葬儀やお墓のこと(移行型で、死後の委任契約をご希望の場合に承ります)、遺産分割の方法(公正証書遺言を作成することができます)などを決めたうえで、任意後見の契約書案を作成いたします。ご納得いただけましたら、公証役場において公正証書にするところまで支援させていただきます。

 

 また、任意後見受任者をどなたにしてもらいたいのかについてもお聞かせください。

任意後見の3つの類型(即効型・将来型・移行型)のいずれを採用するのかについても、ご意向をお伺いさせていただいたうえで適切に判断させていただきます。ご安心ください。

 

任意後見制度利用支援フルサポート
  • 判断能力はあるけれども、身体が不自由なので財産管理を信頼できる人に任せたい方
  • 身寄りがない、あるいはご親類とは遠く離れて暮らしている、疎遠になっているなどの理由で将来の準備をしておきたい方

 行政書士である私、大山が任意後見受任者になり、上記の「任意後見制度利用支援業務」をフルサポートさせていただきます。私は公益社団法人コスモス成年後見サポートセンターの正会員になっており、所定の研修を終えたうえで万が一に備え、成年後見賠償責任保険に加入しております。ご本人様より伺ったご意向に沿って、最大限ご本人様の支援を行います。

 

 ご本人様の判断能力が十分なうちは定期的な見守りや委任された事務等(これらの内容も契約書に盛り込みます)を行い、判断能力の低下が確認できた時点で家庭裁判所に申立を行い、スムーズに任意後見契約を発効させます。

 

費用・報酬等については、

  • 契約書案の作成(行政書士の報酬)
  • 遺言案の作成(遺言の作成を希望される場合:行政書士の報酬)
  • 公証役場での任意後見契約公正証書作成(公正証書作成費用)
  • 公証役場での公正証書遺言作成(遺言の作成を希望される場合:公正証書作成費用)
  • 見守り・委任された事務に関する費用(任意後見受任者の報酬)
  • 任意後見契約移行後の費用(任意後見人の報酬)
  • 死後の事務委任契約に関する費用(任意後見人の報酬)

の中から、契約書に記述されている費用・報酬と、作成した書類の作成費用等が必要になってきます。

 

 ご相談くださった時点で、費用のお見積り・概算(項目別に)をお出ししますので、お気軽にご相談ください。相談をされることで、不安がずいぶん軽減されると思います。

 

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