建設業許可とは?〜建設業経営と将来への展望〜 その4

自社内に設計事務所(建築士事務所)を設置したい

 建設業者が設計から施工や保守までを一貫して行う傾向が強まりつつあり、このようにお考えの建設業者は多いと思います。

 

 建築の設計、工事の監理を行うには、建築士事務所登録を受けていなければなりません。

 

設計事務所(建築士事務所)の登録について

 事務所の登録は、営業所の所在する都道府県ごとに受け付けています。登録申請書類の受付は、都道府県が指定した建築士事務所協会(一般社団法人日本建築士事務所協会連合会にリンクしています)が行っています(一般社団法人 三重県建築士事務所協会へはこちらから)。

 

 建築士事務所の登録には、事務所ごとに常勤で専任の管理建築士を置く必要があります。管理建築士が1級建築士であるか、2級建築士であるか、木造建築士であるかによって、1級建築士事務所登録、2級建築士事務所登録、木造建築士事務所登録に分けられます。この区分によって、設計などの業務を営業できる建築物の構造・規模が異なってきます。

 

 事務所の存在確認(賃貸契約書等による)と管理建築士の資格者証の原本確認、定款の事業目的の確認などが行われます。登録の有効期間は5年で、更新登録を行う場合、満了の日前30日以内に申請を行うことになります。

 

自社内で宅地建物取引業を営業したい

 宅地建物取引業を営業するには、宅地建物取引業法に基づく免許が必要になります。

 

 宅地建物取引業者免許には、国土交通大臣免許と都道府県知事免許があります。事務所が1つの都道府県に所在する場合はその都道府県の免許を取得すればよく、2つ以上の都道府県に所在する場合は大臣免許を取得する必要があります。大臣免許の申請は、主たる事務所(本店にあたる)が所在する都道府県窓口でできます。

 

 申請の手続きや形態は建設業許可申請と似ていますが、宅地建物取引業の場合、あくまでも本店が主たる事務所となります。本店で建設業の営業を行っていて支店で宅地建物取引業の営業を行っている場合でも、本店が主たる事務所とされます。

 

 事務所ごとには従事者5名につき1名以上の専任の宅地建物取引士が設置されていなければなりませんし、案内所等には必ず1名以上の専任宅地建物取引士が必要です。

 

 また、次の点に該当している場合、受け付けされない、あるいは却下される、取り下げなければならないことになりますので、ご注意ください。

  • 申請書に重要な虚偽記載または事実不記載がある。
  • 申請者・申請者の役員・支店長など事務所代表者(政令で定められた使用人)などが、次の1〜3に該当している場合。
  1. 成年被後見人・被保佐人、破産者で復権を得ない者である
  2. 宅地建物取引業資格を取り消され、その取り消しの日から5年を経過していない者
  3. 禁固以上の刑を受け、刑の執行が終わった日、またはその執行を受けることが亡くなった日から5年を経過していない者

 

自分の不動産を売買したり、貸借したりすることは宅地建物取引業にあたりません。つまり、自己所有のアパートや駐車場を貸したり、自社所有目的で土地や建築物を購入したりすることは免許がなくてもできます。

 

しかし、建築業者が自社で建物を作り、お客様に販売する場合は、「事業としての宅地建物の売買」となり、免許の取得が必要となります。