遺言〜大切な家族に安心を贈るために〜
遺言とは…
今、このページをご覧くださっているあなたは、遺言(「ゆいごん」または「いごん」)と聞いて、どんなイメージを抱かれるでしょうか?
死が目前にせまったときに書く「遺書」と勘違いされていませんか?
莫大な資産を持っているいわゆる「資産家」にしか関係ないものだと考えていませんか?
人は生前、自分の意思で自由に財産を処分できますが、万が一のことがあったとき、遺された大切な家族は、故人の意思を確かめることができません。故人の意思を最大限尊重したくても、その意思を確認するすべがなければ(つまり遺言がなければ)どうしようもないのです。
裁判所の統計によると、遺産分割でもめて裁判所に持ち込まれるケースの75.9%は、財産が5,000万円以下なのだそうです(裁判所 司法統計平成27年度)。5,000万円前後の金額であれば、自宅用の土地・家屋を所有している人の多くが該当する可能性がありますね(ちなみに1,000万円以下は全体の32.1%を占めています)。裁判になってしまうと審理に時間がかかるだけではなく、解決したとしてもその後の親族間の関係がうまくいかなくなることにもなりかねません。
遺言は遺産をめぐるトラブルを防ぐ最善の方法であるとともに、遺された家族が故人に感謝して暮らしていくための出発点でもあるのです。
遺言を作成したほうが良いケース
次のようなケースにおいては、遺言を作成されることを強くお勧めします。
@ 法定相続分と異なる配分をしたい場合
相続人それぞれの生活状況などに考慮した財産配分を指定することが可能です(ただし「遺留分」を超える割合を指定した場合は、遺言の通りにならないこともあります)。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に対して、法律上取得することが保証されている相続財産の一定の割合のことを言います。被相続人の意思によっても奪えない相続人の権利を認めています。
A 配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合
配偶者と、配偶者にとって義理の兄弟姉妹となる方々との間での遺産分割協議は円満に進みにくいという統計が出ています。遺言を作成することによって自分の考えを伝えることができますし、すべて配偶者に相続させることも可能です(兄弟姉妹には「遺留分」が存在しないため)。
B 農業経営者や個人事業主の場合
相続によって事業用の資産(土地・建物など)が分散してしまうことがないように、遺言で取得者を指定しておきましょう。
C 遺産の種類・数量が多い場合
「自分は民法で規定された割合で相続してくれればいいよ」とお考えの方も多いと思います。
遺産分割協議においては、財産配分の割合では合意できても、だれが何を取得するのかについてはなかなかまとまらないものです。というのは、一口に財産といっても土地・建物・有価証券・預貯金・現金などさまざまな種類がありますし、有価証券や預貯金は預けてある金融機関の数だけ種類がわかれてしまっているからです。あらかじめ財産目録を作成しておき、遺言で取得者を指定しておくことで、相続人間の争いを予防することになります。
D 民法で定められた相続人以外に財産を与えたい場合
「自分の面倒をよくみてくれている長男の嫁に相続させたい」
「あの人には世話になっているから財産を与えたい」
ということもあろうかと思います。このような場合、遺言を残しておくことによって、解決が可能ですし、言い換えれば、遺言がなければできないことです(ただし「遺留分」には注意が必要です)。
遺言ってどのように書けばいいのだろう?
遺言が大切な家族を守るために必要なものだということは、おわかりいただけたと思います。では、遺言というのはどのように書いて残せばいいのでしょうか。
民法第960条には、「遺言はこの法律(民法のことです)に定める方式に従わなければ、することができない」と規定されています。つまり、民法の規定に従わない遺言は無効ということになります。
また、遺言能力を規定したものとして、第961条には「十五歳に達したものは、遺言をすることができる」とあり、第963条には「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない」とあります。
民法では普通方式の遺言(3種類)と特別方式の遺言(一般社会と隔絶した地での遺言など特殊な状況での遺言)が規定されていますが、ここでは普通方式の遺言について解説しておきます。
@ 自筆証書遺言 |
遺言者が遺言全文と日付及び氏名を自書し、これに押印したものです。
もっとも簡易な方式で、費用もかからないというメリットがある反面、紛失、隠匿、改変しやすいという欠点があります。また、執行にあたっては家庭裁判所での検認手続きが必要となります。 |
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A 秘密証書遺言 |
遺言の内容は秘密にしておきたいが、遺言の存在は明確にしておきたい場合に用いられる遺言の方式です。
遺言者が署名・押印した遺言を封書にして公証人に提出します。自書でなくてもよいというメリットはありますが、家庭裁判所での検認手続きは必要となります。 |
B 公正証書遺言 |
証人2人の立会いのもと、遺言の内容を公証人に伝え、筆記してもらったうえで読み聞かせてもらいます。遺言者及び証人はその筆記に間違いがないことを確認し、署名・押印します。
公正証書遺言には3つの大きなメリットがあります。
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公正証書遺言は、手続きは煩雑ですが、家族にとって最も安全で、安心・確実な遺言であるということが言えます。
当事務所へのご依頼について
行政書士大山佳俊事務所では遺言関連業務につきまして、以下のようなメニューを用意しております。お気軽にお問い合わせください。
「遺言を作成したいけれども、どのように進めていけばよいのかわからない」
「専門家にお任せするのが一番!」
という方に最適のプランです。
推定相続人の調査から遺産目録の作成、公正証書遺言の原案作成について、相談を重ねながら一緒に創り上げていきます。公証役場へもお供させていただき、証人として遺言完成のお手伝いをさせていただきます。
報酬:¥100,000〜
(推定相続人・受遺者の人数、遺産の種類・数などから個別にお見積もりいたします。また、報酬には公証役場などの手数料は含まれておりません)
公正証書作成時の公証役場の手数料は、公証人手数料令に定められています(以下、日本公証人連合会ホームページより引用)。
目的の価額 |
手数料 |
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100万円以下 | 5,000円 |
100万円を超え、200万円以下 | 7,000円 |
200万円を超え、500万円以下 | 11,000円 |
500万円を超え、1,000万円以下 | 17,000円 |
1,000万円を超え、3,000万円以下 | 23,000円 |
3,000万円を超え、5,000万円以下 | 29,000円 |
5,000万円を超え、1億円以下 | 43,000円 |
1億円を超え、3億円以下 | 43,000円に、5,000万円までごとに13,000円加算 |
3億円を超え、10億円まで | 95,000円に、5,000万円までごとに11,000円加算 |
10億円超 | 249,000円に、5,000万円までごとに8,000円加算 |
1.相続・遺贈額の合計が1億円に満たないときは、11,000円を加算します。
2.遺言者が病気または高齢等のために公証役場へ赴くことができず、公証人が出張して公正証書を作成する場合には、上表の手数料が50%加算されるほか、公証人の日当と現地までの交通費がかかります。
3.原本については、その枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書きの証書にあっては3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算され、また正本と謄本の交付にも1枚につき250円の手数料が必要です。
例1) 5,000万円の財産を配偶者1人に相続させる遺言の場合……
手数料は、29,000円+11,000円(加算額)=40,000円 となります。
例2) 5,000万円の財産を、配偶者に2,500万円、長男に1,500万円、長女と次男に500万円ずつ相続させる遺言の場合……
手数料は、23,000円(配偶者分)+23,000円(長男分)+11,000円(長女分)+11,000円(次男分)+11,000円(加算額)=79,000円 となります。
「万が一のときのために、遺言執行者(遺言内容を実現する者)をお願いしたい」という場合はその旨ご相談ください。
「戸籍などの書類は自分で取ってくるので、もう少しお安くなりませんか?」
「公正証書遺言にしたほうがいいことはわかっているのだけれども…」
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ご自分でできることはできるだけやっていただいて、その代わりに割引をを行うパックです(当然のことながら、推定相続人の調査・遺産目録の作成は行います)。公証役場へもお供させていただき、証人として遺言完成のお手伝いをさせていただきます。
報酬:¥80,000〜
(推定相続人・受遺者の人数、遺産の種類・数などから個別にお見積もりいたします。。また、報酬には公証役場などの手数料は含まれておりません)
「以前の遺言の書き直しをしたいのだけれども…」
「今ある自筆証書遺言を公正証書遺言にしたい」
という方に最適のプランです。
今ある遺言を、さらに良いものにしようとするあなたを支援するための割引パックです(作り直しとありますが、念のために推定相続人の調査・遺産目録の作成は行います)。公証役場へもお供させていただき、証人として遺言完成のお手伝いをさせていただきます。
報酬:¥70,000〜
(推定相続人・受遺者の人数、遺産の種類・数などから個別にお見積もりいたします。また、報酬には公証役場などの手数料は含まれておりません)
「お金をかけずに遺言を作りたい」
「とりあえず遺言というものを作っておきたい」
という方に最適のプランです。
「法律的に有効な遺言を書き上げる」という視点から、遺言原案の作成をサポートします(当然のことながら、推定相続人の調査・遺産目録の作成も行います)。不思議なもので、遺言を書き上げると不安がなくなり、元気になる人も多いです。相談にも応じます。
報酬:¥60,000〜
(推定相続人・受遺者の人数、遺産の種類・数などから個別にお見積もりいたします)
「遺言というと大げさだけど、自分が持っている財産を確認しておきたい」
という方に最適のプランです。
報酬:¥30,000〜
(遺産の種類・数などから個別にお見積もりいたします)